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冬虫夏草 梨木香歩著   

冬虫夏草 梨木香歩著_e0080346_17513664.png何年も待ってやっと文庫化されたので
即効購入♪
「家守奇譚」の続編であり、
主人公・綿貫征四郎がたどる
成長と気付きの物語。

前半は前作同様、京都は疎水べりの仮家での
自然とのふれあいの日々。
本書の3分の1を過ぎたあたりで
がらっと趣が変わり、
何か月も帰ってこない愛犬ゴローを探す旅。
(琵琶湖)湖南地方から瑞々しい鈴鹿山麓へ
山深く深く分け入って、自然の神秘の
深層へどんどん深く
どんどん高みへ上り詰めてゆく物語。

随所にキーワードとなる地名や神社、神様の名前などがちりばめられており、
ゴローを探して愛知川支流を遡っていく間に
その伏線が回収されてゆくので、
よーく注意して、忘れないように読み進めないといけない。
あの時の人はどんな様子だったっけ?
あの人はなんと言ってたっけ?
どの滝の洞の事を指してるんだっけ?
読み返すとよく理解できて、パズルのピースがはまってゆくよ。

作者は今までの沢山の作品同様、同じ事を繰り返し
手を変え品を変え表現しているのだろう。
姿かたちは変化しても根っこは同じ、神羅万象すべては1つであると。
ただ、われわれは綿貫以上に鈍感で、
それを感じ取るのが難しくなってるのだという事も。

イイ所で終わるので、この続きは有るのか気になる所。

by sasha-moon | 2017-06-13 16:50 | 本・マンガ

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